講演者リスト

2023年10月13日現在 ※注:登録してもすぐには反映されません。      
ポスター 講演者氏名 著者 所属 講演タイトル 講演内容
1 DA Bo DA Bo、劉 江偉、小原 真司、吉川 英樹、田沼 繁夫 物質・材料研究機構 Simulation of diffractive electron lenses using Monte Carlo method The Kikuchi bands arise from Bragg diffraction of incoherent electrons scattered within a crystalline specimen and can be observed in both the transmission and reflection modes of scanning electron microscopy (SEM). Converging, rocking, or grazing incidence beams must be used to generate divergent electron sources to obtain the Kikuchi pattern. This paper report the observation of Kikuchi pattern from SEM images of an exceptional rotating crystal with continuous rotation in the local crystal direction and satisfying cylindrical symmetry, named a cylindrically symmetric rotating crystal. SEM images of cylindrically symmetric rotating crystals reflect the interactions between electrons and the sample in both the real- and momentum-space. By retracing the Kikuchi line pattern, it is possible to obtain the lattice structure, lattice constants, crystal orientation, stress information, defect concentration, and Brillouin zone information of the presented sample from the conventional SEM images. SEM images of cylindrically symmetric rotating crystals reflect the interactions between electrons and the sample in both the real- and momentum-space. It is a very interesting and representative new case for the study of the contrast mechanism in SEM.
2 鈴木貴博 鈴木貴博、鴨藤加奈、飯島あゆみ、塚本和芳、大石隼輔 株式会社キャタラー アーククリエイションセンター 電池材料のXPS帯電補正手法検討 近年、電気自動車市場形成が進みLIBや燃料電池向けの負極材カーボンやPt担持カーボンが開発されている。その中でもXPSによる活性点やドーパントの化学状態分析が有用だが、一般的なカーボンテープやIn箔による試料固定ではC 1sスペクトルが安定して得られなかった。要因として試料が熱処理不十分でグラファイトと無定形炭素の混在状態となりスペクトルが2種現れているか、或いはそれによる導電性不均一や数μmサイズのカーボン粒子で表面凹凸が生まれるなどしてDifferential chargingが生じている可能性が考えられた。調査の結果、Differential chargingが主要因であることがわかったが、同時に固定に使用したInも表面酸化していることがわった。前述の通り、焼成条件次第でグラファイトと無定形炭素の混在状態になる可能性もあるため一般的なC 1sによる帯電補正も難しく、今回、新たな試料固定法と帯電補正基準元素を同時に検討した。種々の検討結果、試料および補正基準のスペクトルが安定かつ低コストなZrO2ディスクペレット表面に試料を塗布して測定する手法を採用した。
3 大西里佳 〇大西里佳1、吉田正沖2、山内康生1 矢崎総業株式会社1、矢崎部品株式会社2 GD-OESを用いためっき中微量元素特定手法の検討 めっきは,金属膜で素材を覆うことで装飾性や防食性,電気伝導性,表面硬度向上など様々な機能を付与する表面処理方法である.めっき被膜の機能を発揮させるには,目的に応じた使用環境で剥離しないことが必要である一方,剥離に至る密着不良は異物付着や未析出,腐食らと並ぶ代表的な不具合である.特に注意すべきは加熱後に剥がれる不良である.成膜後及び製品出荷段階では問題ないが,使用環境で熱が加わることで剥がれが発生すると,製品の動作不良や発火など重大な事故を引き起こす危険性がある.不具合を未然に防止するためには,加熱前の状態で剥がれに繋がる因子の有無を判定できる必要がある.
加熱によりめっき剥がれが発生する要因の一つに,めっき処理過程における微量不純物元素の濃化がある.そこで,我々は加熱前の状態において,めっき中の微量不純物有無を判定することを目的に多種の分析を実施し, GD-OESを用いた深さ方向分析が効果的な手法であることを確認した.
4 西田真輔 〇西田真輔、大友晋哉 古河電気工業株式会社 実験室系HAXPES (Ga Kα)によるCuの化学状態分析 単色化CrKα線や単色化Ga Kα線といった硬X 線を用いた実験室系HAXPESは従来のXPSよりも情報深さが大きく、バルク敏感な測定が可能である。しかし、HAXPESで情報深さが大きくなるのは光電子のみであり、オージェ電子の情報深さは変化しないためXPSの化学状態分析で用いられているオージェパラメーターが使えなくなってしまうという問題がある。特に、オージェパラメーターで化学状態分析が一般的に行われているCuについては、HAXPESではCu2p3/2のみで化学状態分析を行わざるを得なくなってしまい、金属CuとCu+の区別が困難となってしまっている。
本研究は、単色化Ga Kα線を用いたHAXPESでCu1sを励起することで、Cu LMMより情報深さの大きなオージェ電子であるCu KLLが検出可能になることに注目し,Cu2p3/2とCu KLLのオージェパラメーターからCuの化学状態分析の検討を行った結果を報告する。
5 宮村昌吏 宮村昌吏、竹内辰憲、伊藤諒、坂下直紀、白井俊也、根本紘伯、森田真人、山口亮、坂本哲夫 工学院大学大学院 電気電子工学専攻 FIB-TOF-SIMSを用いたアエンデ隕石マトリックスのAl-rich粒子の分類 炭素質コンドライトは、太陽系の形成プロセスを実験的に解明することが出来る貴重なサンプルである。炭素質コンドライトの代表的な1つに、アエンデ隕石がある。構成要素にCAI、コンドリュール、マトリックスが存在している。その中でもマトリックス領域の大部分は、数 μmサイズのオリビン粒子で構成されている。マトリックスは、隕石内での変成作用により、起源を明らかにすることは難しい。本研究室で開発したFIB-TOF-SIMSは、面分解能が40 nmであるため、オリビン粒子1つ1つの観察が可能である。我々の分析で発見したAlに富む粒子から、マトリックス領域の凝集、変成作用の影響を明らかにしたい。本研究では、オリビン粒子間にSub μmサイズのAlに富む粒子、数 μm~数十μmサイズのAlに富む粒子、Fe、Ni、Sと共存しているAlに富む粒子を発見した。FIB-TOF-SIMSで分析した各粒子のスペクトルを抽出し、各元素の存在比を求めたところ、分類する可能性であると思われる。
6 戸津美矢子 戸津美矢子1、西田真輔2、間宮一敏1、眞田則明1、飯田真一1 アルバック・ファイ株式会社1、古河電気工業株式会社2 HAXPES(Cr Kα)スペクトルデータベースの構築 ラボ型の装置が普及しつつある硬X線光電子分光法(HAXPES)は、入射光エネルギーが高いために一般に光電子の平均自由行程が長く、従来のX線光電子分光法(XPS)よりも深い表層領域の化学分析が可能な手法として期待が高まっている。
また測定可能な内殻準位が多く、重複ピークの回避などの目的で、深い内殻準位のピークを選択するなど、目的に応じて適切な準位を測定できる点も注目されている。
しかし、深い内殻準位や高エネルギーのオージェ電子に関するデータベースがほとんどなく、スピーディな解析が求められる実用分析で、こうした特徴を十分に活かしきれていないのが現状となっている。
そこでHAXPES(Cr Kα)を用いて、元素とその化合物について、深い内殻準位ピークや3200eV以上のオージェピークについてデータベース化をおこなっている。現状と展望について紹介する。
7 加藤望亜 加藤望亜1、黒松聖冬1、森田真人2、 〇坂本哲夫1,2 工学院大学大学院 工学研究科 電気・電子工学専攻1、工学院大学 先進工学部 応用物理学科2 エアロゾルをSEM観察によって発生源別にカウントする方法の開発 大気中に浮遊する微小な液体や固体をエアロゾルと呼称する。現在のところ、エアロゾルの分析はバルク分析が主流である。バルク分析では捕集した粒子の平均組成が得られるものの、特定のタイプの粒子について、個数変動、起源特定を行うことはできない。一方で、エアロゾルによる気候変動や健康影響の観点では特定の粒子の大気中の個数濃度データが必要となる。また、当研究室のこれまでの研究から粒子の形状と成分(起源)にはある程度の相関があることが確認されたため、SEM画像を用いてエアロゾルの形状情報から発生源ごとに分類する形状識別手法を考案した。しかしながら、上記の形状識別による個数判別方法では複数タイプの粒子の分類は可能であるが、特定タイプの粒子に対する分類の精度は改善の余地があり、粒子種毎の適切な使用パラメータの選出が必要である。そこで本研究では、特定タイプの粒子に対する有用なパラメータについて、検証及び評価を行った。
8 吉村昌稀 〇吉村 昌稀1、松村 珠希1、田口翼1、徳永陸1、名郷根慧1、森田 真人1、坂本 哲夫1 工学院大学大学院  共鳴ポンピング・トンネルイオン化SNMSによる同位体比分析手法の開発  同位体比の分析は、様々な分野で活用されており、とりわけ原子力分野においては欠かせない分析手法である。主に利用されるのは質量分析であり、ICP-MSやTIMSが用いられる。近年では、SIMSの質量分解能や面分解能が向上したことにより局所的な同位体比の測定が可能となった。本研究室ではFIB-TOF-SIMS装置と高繰り返し波長可変レーザーを組み合わせたR-SNMS装置により、従来の質量分析装置の課題である同重体干渉を共鳴イオン化法により解決し、微小視野の同位体比の分析を行っている。
 しかしながら、共鳴イオン化は波長可変レーザーを用い、元素固有の励起状態を経てイオン化させるため、高い選択性を持つ一方、イオン化ポテンシャルの高い元素に対しては適用が難しい場合がある。そこで、本研究室では「共鳴ポンピング・トンネルイオン化SNMS法」を新たに発案した。本SNMS法は基底状態から中間励起状態に共鳴励起(ポンピング)させた後、フェムト秒レーザーによりトンネルイオン化する方法である。本発表では、共鳴ポンピング・トンネルイオン化SNMS法をFeの同位体比分析に適用した結果を報告する。
9 川村鮎人 〇川村鮎人、牧野久雄 高知工科大学 ZnO多結晶薄膜に対するアルゴンイオンスパッタの影響 ZnOの結晶極性は透明導電膜の電気的特性などに影響する重要な要素であり、極性の制御が求められている。一方で、ZnOと金属との界面について金属の種類に依存した界面の結合が予測されている。そこで、ガラス基板上のZnO多結晶膜に対する金属下地層の効果を検討した。極性の指標となる価電子帯スペクトルでは金属の種類に依存した系統的な変化がみられ、ZnOの極性制御の可能性が示された。ZnOと金属界面の化学状態の評価は、アルゴンイオンスパッタによるZnO膜のエッチングによって可能である。準備段階として、ZnO膜に対するスパッタの時間依存性をAlkα線とCrkα線によるXPS測定により調べた。Alkα線では表面汚染除去によるピーク強度の増加が見られた。一方、表面の影響が少ないCrkα線では、ピーク強度の変化はほとんど見られなかった。また、スパッタ時間の増加に伴いZn2pとO1s内殻スペクトルに低結合エネルギー側へのシフトが観測された。スパッタで形成された欠陥によるものと考えられる。
10 増田哲也 増田 哲也1, 藤田 美弥2, 植野 富和2, 林 大介1, 青柳 里果1 成蹊大学大学院 理工学研究科1, JSR株式会社2 ToF-SIMSと機械学習による海洋プラスチックの劣化評価 近年,海洋プラスチックやマイクロプラスチック[1-3]が環境問題となっている.マイクロプラスチックはプラスチックが海中で劣化し破砕された際に発生する小さなプラスチック片である.海洋におけるマイクロプラスチック生成のメカニズムを理解することは,この問題の解決策を開発する上で極めて重要である.プラスチックは,機械的ストレスや紫外線など様々な理由で分解・断片化する.本研究ではマイクロプラスチックの分解を評価するために,飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF-SIMS)を用いて海洋プラスチックの化学変化を分析した.ToF-SIMSは,試料中の化学構造に関する詳細な情報と高い空間分解能(2Dイメージングでは約100nm,深さ方向分析では数nm)で2Dおよび3Dの化学種の分布イメージを得ることができる.ポリマー主鎖由来のイオン,末端由来のイオン,開裂によって生じたイオンなど,さまざまな種類のフラグメントイオンに基づいて,海洋プラスチックが時間とともにどのように劣化してきたか評価した.
11 木内柚月 〇木内柚月1, 岡本 昌幸2, 石川 和高2, 村山 陽平3, 林 大介1, 青柳 里果1 1成蹊大学大学院, 2 花王株式会社, 3キヤノン株式会社 有機EL試料の質量分析データの人工ニューラルネットーワークを用いた定量分析 質量分析や二次イオン質量分析(SIMS)ではマトリックス効果の影響を大きく受ける試料があるという問題がある。そこで本研究では,ANN(Artificial Neutral Network)に基づく教師あり学習法をマトリックス効果の影響を受けた質量スペクトルに対して用いて定量分析を可能とする新たな解析システムの開発を目指した.参考試料として2種類の有機EL材料Ir(ppy)3とAlq3の混合試料を数種類用意した.各試料はMALDI-TOF (Bruker) を用いて測定した.各試料のスペクトル中の全質量ピークを数値化し,混合比を正解としてデータに付加したデータセットを青柳らが開発したANNに基づく教師あり学習システム を用いて解析した.結果として定量分析に関して,80%以上の正解率が得られた.さらに,ANNの重みから,試料中の物質に由来する質量ピークが示唆された.
12 中林 在 中林在1、神谷悠太2、瀧川 純一郎2、朱瑞希1、森田真人2、 長瀬久美子3、垣花昌俊3、大平達夫3、池田徳彦3、坂本哲夫1,2 工学院大学大学院工学研究科電気・電子工学専攻、東京都八王子市中野町 2665-1  1、工学院大学先進工学部応用物理学科、東京都八王子市中野町 2665-1  2、東京医科大学病院呼吸器・甲状腺外科学分野、東京都新宿区西新宿6-7-1 3 FIB-TOF-SIMSを用いた肺がんのクラスター解析による判別手法 がんは悪性腫瘍とも呼ばれ、正常細胞の遺伝子が変異して他の臓器への転移、周囲へ染み込むように広がる浸潤などの特徴がみられる。加えて、増殖の過程において同一の腫瘍内には、DNAの異なる複数のクローンの生成により、がん細胞の種類の多様化することが知られている。これは、治療後に抵抗のある少数のがん細胞種が残ってしまうことによる、治療の長期化や再発、副作用の原因となりうる。そこで、腫瘍内の不均一性まで含めた個別化医療による複数種類のがん細胞の判別を行うための手法の確立が求められている。他方で、悪性度の異なるがん細胞種において無機イオンの濃度が異なることが知られている。そのため、同一のがんの悪性度を理解するうえで無機イオンの濃度や分布に注目することが重要であると考えられる。
そこで、本研究では異なる組織型分類に属する5つの細胞株細胞の無機イオンに着目して、がん細胞の悪性度評価の開発の検討を行った。分析装置として、本研究室で開発した40 nmの空間分解能をもつ微小領域高分解能のFIB-TOF-SIMSを用いがん細胞株の表面をスパッタリングすることで、細胞内部の無機イオンの濃度比を測定した。その後、各クラスター解析を行うことで各細胞株の特徴を調べた。